事実はケイザイ小説よりも奇なり

経済を、ビジネスを、小説を通じて学んでみる

帝國銀行、人事部108

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 10月上旬、田嶋は久しぶりに山手線外の会を同期と開催することにしていた。

 場所JR京浜東北線の大井町。遅れてくるメンバーもいたが、最初はとんかつを食べようと決めていた。

 丸八とんかつ店本店は昭和30年に創業にしており、現在65年が経過している。 大井町で一番有名な飲食店といっても過言ではなく、食べログの百名店にも選ばれている。

 JR大井町駅西口を出て商店街を2分くらい歩いたところに丸八とんかつ店はある。間口は3mあるだろうか。あまり広くない間口で、白いのれんに『とんかつ丸八』と書かれている。外からは中が見えない構造の造りになっており、古めかしい、街のとんかつ屋さんといった趣だ。初めての客は少し入りづらい感じがするだろう。

 お値段はまあまあ高めで、ヒレカツ定食は1,950円、上ロースカツ定食は1,650円だ。

 田嶋はヒレカツ定食を頼むことにしていた。丸八とんかつに同期で食べに行った時のヒレカツの感動は忘れていない。当時は今よりも2,000円近い値段は高いと思ったものだったが、それだけの価値はあった。そもそも居酒屋に行けば、すぐに4,000円から5,000円ぐらいはいってしまう。今回は、まず丸八とんかつ店でお腹を満たしてから、飲みに行くことにしていた。

 待ち合わせは19時30分。丸八とんかつ店は予約できないので、間に合ったメンバーで入ることにしていた。