事実はケイザイ小説よりも奇なり

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帝國銀行、人事部89

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 銀行の横領事件では、滋賀銀行9億円横領事件が最も有名だろう。

 1973年10月、滋賀銀行山科支店のベテラン女子行員である奥村が横領の容疑で逮捕された事件だ。奥村は山科支店勤務時代の6年間で、およそ1,300回にわたって史上空前の9億円の金を着服、ほとんどを10歳年下の元タクシー運転手に貢いでいた。当時の9億円は現在の価値では30億円程度と見込まれる。

 奥村は、顧客から預かったお金を最初は貢いでいたが、後には、行内の伝票を偽造し定期の中途解約を行うことで、資金を銀行から不正に引き出していた。交際相手からの要求はエスカレートし、定期預金の中途解約では追いつかなくなり、架空名義の書類を作り上げ次々と銀行から資金を引き出していった。1972年10月には定期・通知預金事務決済者を任され、これが更に横領に拍車をかけることとなったとされている。結局、支店からの異動辞令が出た際に発覚することを覚悟し、奥村は姿を消した。それによって犯行が発覚し、逃走中の奥村も逮捕された。事件は、様々なマスコミで取り上げられ、美人銀行員の横領事件として報じられた。近時もテレビで特集が組まれる等、未だに事件は風化していない。

 横山の横領事件も社会的な事件として大きく注目を浴びる可能性はあるだろう。