事実はケイザイ小説よりも奇なり

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帝國銀行、人事部78

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 帝國銀行では、基本的に①窓口での受付でタブレット端末を使う等、極力デジタルで処理する、②残っている「紙」の事務を光学読み取り機(OCR)で処理するか、センターへ集中する、の2点を個人店舗の効率化施策として掲げている。この2点のポイントは「人手を介さない」だ。

 そして店舗の立地自体も変えていく。帝國銀行としては、メガバンクという抜群の知名度を活かし、店舗をほとんど1Fではなく2F以上として来店客が入りづらくする方針だ。これにより店舗の窓口は混むことが減り、窓口の担当もじっくりとお客様のライフプランの相談に乗ることが出来る。目指すは証券会社や信託銀行の窓口だ。

 店舗数も神奈川県内では半分まで減少させる方針だ。旧Yは都市銀行と言われながらも、実質的には神奈川県地盤の地方銀行だった。そのため、神奈川県内では人口の少ない地域まで店舗網が張り巡らされている。特に高齢化が進んでいる地域は不採算な店舗が多く、整理が必要だった。

 このような施策によって、帝國銀行では個人部門の収益を相応の黒字まで持っていこうとしていた。

 この大きな流れに沿って、人事部は人員計画を、総務部は店舗計画を策定する。今回、神奈川県内の人員計画を策定するのが、田嶋だった。