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【3月6日もう一つのプレスリリース②】(ヂメンシノ事件85)

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 このプレスリリースには、マスコミからは調査対策委員会の報告書全文を開示すべきだとの指摘もあった。もちろん奥平はマスコミに更にリークしていた。調査対策委員会の報告書には平野の責任が明記されてあると何度もマスコミに告発しているのだ。しかし、批判を承知で調査対策委員会の報告書の全文は開示しないと平野が決めた。

 確かに調査対策委員会の報告書は平野の経営責任を指摘している。しかし、社外取締役と弁護士による調査と言いながらも、実際には奥平の意向を受けた調査であることは明らかだった。悪意があれば、いくらでも第三者を装って平野を追い込む報告書が書けるのだ。報告書がそのまま開示されれば、当然に平野の責任を問う声がマスコミから上がるだろう。会社にとっては単なる第三者でしかないマスコミだが、民主主義国家においてマスコミは正義そのものである。少なくともマスコミ自身はそのように考えているらしかった。

 『奥平さん。本当に勘弁してください。もう年なんだから引いてください。』平野は毎日のように心のなかでつぶやいた。

 このプレスリリースを出してから暫く経つとマスコミが飽きたのか、満水ハウスのクーデター報道は沈静化してきた。

 乗り切ったようだ。平野はもう疲労困憊だった。しかし、それでも理想を追わなければならない。奥平を裏切ったのは私怨だけではないと証明しなければならないのだ。

(続く)

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ヂメンシノ事件