事実はケイザイ小説よりも奇なり

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【2月19日報道③】(ヂメンシノ事件77)

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 「会長。まずいことになりました。とりあえず本日はご自宅に帰るのはやめて下さい。ホテルは秘書に手配させます。」

 「分かった。で、理由は。接待中だから手短に。」

 「奥平相談役がトップ交代について日本経済新聞に話しました。先程、ニュース速報で記事が配信されています。今回の退任はクーデターだと報道されています。詳しい内容はメールに入れておきます。日経新聞から裏取りの取材要請が来ていますが、お受けになりますか。」

 「バカを言うな。こちらは捕まらないと言っておいてくれ。木村にも自宅に帰らないように伝えろ。」

 「分かりました。この報道については会社としても発表をする必要があります。後程、プレスリリースの案文を作って送りますのでご確認下さい。」

 「副会長と社長にも同じものを送っておいてくれ。しかし、相談役もただでは引き下がらないと思っていたが、まさか新聞で反撃するとはな。弁護士にも相談してくれよ。」

 「はい。問題は取締役会の議事や詐欺事件の調査報告書の内容が外に漏れたことですね。取締役としての守秘義務違反で訴えることも視野に入れます。」

 「様々なオプションは用意してくれ。ただし、お家騒動とは思われたくない。可能な限り穏便に対応したい。せっかく解任ではなく辞任としたのにな。せめてもの気遣いだったんだがな。とにかく至急対応を。」

 それ以降の会食での話題は覚えていない。とにかく早く接待が終わるように願っていたことだけを記憶している。

(続く)

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ヂメンシノ事件