事実はケイザイ小説よりも奇なり

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【1月24日記者会見②】(ヂメンシノ事件73)

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 「報道各社の皆様。本日は急なご連絡にも関わらずご参集頂きまして誠にありがとうございます。」

 一拍呼吸をおいた。声が震えないかだけ気をつけた。

 「先程、弊社の代表取締役交代を発表させて頂きました。会長の奥平は取締役相談役となります。」

 記者席からざわめきとでも言えるような音が響く。まだプレスリリースをみていないのだろうか。そんな訳はないだろう。平野から発表があったことが驚きなのだろう。なぜ、奥平がこの場所に来ないのか、それをマスコミは聞きたいのだ。

 「社長の私は会長へ、副社長の草薙は副会長へ、常務の木村が社長ということになります。ここに同席しております木村をサポートし、新たな満水ハウスを目指して参ります。皆様、どうぞ宜しくお願い致します。」木村と一緒に立ち上がり、頭を下げた。これは誰のためのパフォーマンスなのだろうか。どうしてもマスコミという権力に頭を下げている気分になるのだ。平野の本当に頭を下げるべき相手は、株主だ。マスコミではない。それでもマスコミは株主の目にも入るように情報を伝えてくれる大事なファンクションだ。そして、日本社会の代理人を自認している厄介な相手でもある。

(続く)

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ヂメンシノ事件