事実はケイザイ小説よりも奇なり

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【1月24日取締役会⑦】(ヂメンシノ事件67)

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 「会長。辞任してくださいませんか。トップになって20年ですよ。もうご勇退しても良い時期じゃないですか。」

 「言うに事欠いて、何を言うんや。恥さらしが。俺の退任理由はなんや。」

 「キックバックですよ。」平野は短い言葉で返した。

 「は。何のことや。」

 「ハジメと言えばお分かりになるんじゃないですか。」

 「うちで親しくしてもらっている不動産会社やないか。」

 「ええ。会長が名古屋で営業をしていた時代から付き合いのある業者ですよね。この業者は、当社が大型物件を売買する時に、ほとんど関与してきました。それも会長のご指示で。」

 「信頼のできる会社に任せるのはあたりまえやろうが。」

 「100億円の物件だったら売買に伴う仲介手数料は3億円です。ほとんど個人事務所のような企業が手にする金額としては大きすぎると思いませんか。しかも売買の情報が大手の仲介会社から入ってきたものでも当社側の仲介にハジメが関与することも多いじゃないですか。」

 「それがどうした。何の問題もないやろうが。」

 「以前から何度か週刊誌等で会長の黒い噂として出ていましたよね。ハジメから会長にお金が流れていると。」

 「そんなもん、いいかげんな週刊誌が書くことや。俺は知らん。」

(続く)

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ヂメンシノ事件