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【1月24日取締役会①】(ヂメンシノ事件61)

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 午後2時に取締役会がスタートする。平野の運命を決める会議だ。取締役会の議長は会長だ。

 取締役会という言葉を聞いたことがある人は多数存在するだろうが、取締役会の権限については実際の取締役であったとしてもきちんと把握しているのは珍しいのではないか。
取締役会の権限については、会社法三百六十二条に規定されている。

第三百六十二条 取締役会は、すべての取締役で組織する。
2取締役会は、次に掲げる職務を行う。
一 取締役会設置会社の業務執行の決定
二 取締役の職務の執行の監督
三 代表取締役の選定及び解職
3取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。

 この条文の通り代表取締役の選定および解職は取締役会が決める。

 ただし、取締役としての地位は株主総会で決定される。すなわち取締役会では代表取締役としての立場は解職できるが、取締役を首にすることはできない。

 そして今回の平野に関係する条文はもう一つある。

三百六十九条(取締役会の決議)だ。

第三百六十九条 取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。
2前項の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。

 この条文にあるように自分の解職の議事が出た場合には、平野は利害関係人として議決に加われないのだ。

 

(続く)

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ヂメンシノ事件