事実はケイザイ小説よりも奇なり

経済を、ビジネスを、小説を通じて学んでみる

帝國銀行、人事部112

伊東に対して田嶋が問い詰める。 「伊東さん。私はあなたが悪い人だとは思っていません。経営統合の実務担当としてご活躍されただけでなく、人事部でも当行全体のことを考え、様々な施策をされていたことを間近で見てきました。感情を表さない伊東さんには冷…

帝國銀行、人事部111

ここでとんかつが運ばれてきた。 とんかつの断面は黄色い衣となっている。きれいな色だ。衣をつけるとき溶き卵を二度付けしているから、このような色になるそうだ。このおかげで肉が柔らかくなり、ほんのりと卵の甘みも加わる。丸八とんかつ店の特別なとんか…

帝國銀行、人事部110

お店ではカウンターに3名で並んで座った。もう少しメンバーの数が多い時は、二階の座敷に行くが、今日はカウンターで十分だ。 田嶋が一番奥に座り、真ん中にムードメーカーの浅川、入口近くに梶が座った。瓶ビールを二本頼み、田嶋と梶がヒレカツ定食、浅川…

帝國銀行、人事部109

19時25分に田嶋は大井町駅に到着した。歩いてすぐなので間に合う時間だ。 少し前の方に見たことのある後ろ姿があり、浅川がいそいそと店に向かっていた。同じ電話に乗っていたようだ。少し早足で浅川を追いかけるが、浅川も急いで歩いている。結局、お店の前…

帝國銀行、人事部108

10月上旬、田嶋は久しぶりに山手線外の会を同期と開催することにしていた。 場所JR京浜東北線の大井町。遅れてくるメンバーもいたが、最初はとんかつを食べようと決めていた。 丸八とんかつ店本店は昭和30年に創業にしており、現在65年が経過している。 大井…

帝國銀行、人事部107

噂が広がった理由は、伊東が人事部の副部長として残留することが見えてきたからだ。執行役員を目指すのであれば、間違いなく人事部から出て、本部か大規模支店の長に就任するはずだ。ところが、伊東が異動しないようなのだ。伊東クラスの移動は、人事部長と…

帝國銀行、人事部106

旧Y店舗からの大量異動発令直後から、急激に人事部への問い合わせが、本人もしくはその上司から増えた。ほとんどは、慣れた事務職への再配置願い、退職の相談、パワハラの相談だ。人事部では田嶋も含めて手分けをして個々の相談に対応した。しかし、退職を希…