事実はケイザイ小説よりも奇なり

経済を、ビジネスを、小説を通じて学んでみる

帝国銀行、人事部40

田嶋は、中野坂上支店長の岩井が本店に来るタイミングを見計らいアポイントを取った。場所は人事部の会議室だ。岩井は中野坂上支店の人事異動の相談だと考えているだろう。 17時30分きっかりに岩井は人事部のフロアに来た。 岩井は、黒い上下のスリムなスー…

帝国銀行、人事部39

「でも、稲垣さんからだけの情報だったら、稲垣さんが嘘をついている可能性もあるんじゃない?」 「確かにそうね。でも恐らく間違いないよ。理由は簡単。あの二人が営業時間中に会社の車でホテルから出てくるところを目撃しているから。しかも二回」 「まじ…

帝国銀行、人事部38

「それって」 「そう。岩井支店長は旦那さんがいながら、独身の稲垣さんと不倫していたの。でも真島さんが支店に来てから稲垣さんと真島さんが急接近して付き合うことになったの。周りのメンバーは二人が付き合っていることを薄々感づいているけど、二人は知…

帝国銀行、人事部37

「この中野坂上支店のような小さな店で、パワハラが起きているの。このままだと誰も問題にしないから心配になって連絡したの。具体的には岩井支店長の件なの」 「岩井支店長が真島さんへの指導が厳しいという話?」 「さすがに良く知っているね。あ、さっき…

帝国銀行、人事部36

「失礼します」少し鼻にかかった女性の声が聞こえ、扉が開く。入ってきたのは同期入行の山内早苗だった。 年齢は田嶋と同じで41歳。就職氷河期世代だ。かなり前だったが、同期会で隣になった時には三鷹に実家があり、実家から通勤していた。三鷹は様々な企業…

帝國銀行、人事部35

同じ会議室では、あまり時間を置かずに山内との面談を始める予定となっていた。既に16時50分を過ぎている。内田との面談は想定を超える50分となっていた。 殺風景な部屋に田嶋が一人取り残されている。 目の前には長いテーブルがある。折り畳み式で、邪魔な…

帝国銀行、人事部34

「岩井支店長の言動とはどのような点が問題だと思われますか」嫌な予感はしていたが、田嶋は真正面に聞いた。 「渉外担当の真島梨花さんへの言動は行き過ぎていると思います。詳しい話は山内さんからお聞きになった方が良いでしょうけど」 「この後に山内さ…