事実はケイザイ小説よりも奇なり

経済を、ビジネスを、小説を通じて学んでみる

帝国銀行、人事部33

「私が知る限りでは当店にセクハラはありません。中村副支店長は、嫌みな感じなので生理的に嫌われていますが、女性が多い職場なのでセクハラはしません」田嶋は思わず吹き出しそうになった。やはり中村は嫌われているのか。錦糸町の頃から変わっていない。 …

帝国銀行、人事部32

「当店の人員数は適正だと思います。問題なのは、時短勤務者の権利意識の強さと、独身女性側の反発だろうと思います。時短勤務者は子供がいるんだから、そして権利なんだから仕事が出来ないのは当たり前と考えています。一方で、独身女性や子供がいない女性…

帝国銀行、人事部31

面談は16時から支店の会議室で行った。本来は女性と二人で会議室に入りたくはない。そもそもコロナ後であったとしても密になるような場所は避けたい。そして、そもそも女性と二人で密室にいると、どのような疑いをかけられるか分かったものではないからだ。…

帝国銀行、人事部30

「いろいろとご迷惑をお掛けしています。しかし、全行的な動きですので、どうかご理解下さい」田嶋は頭を下げた。 「分かっているよ。何とか営業事務のメンバーも戦力化するから」中村は安心したようだ。自分が副支店長時代に何らかの問題が起きたら、責任を…

帝国銀行、人事部29

田嶋は支店に入ると、まず副支店長宛に挨拶に行く。副支店長の中村は、入行店の錦糸町支店で一緒だった。その頃、中村はまだ4年目、田嶋は新入行員だった。 山内には、店内で変な勘繰りをされないように、近くの店舗に訪問した帰りに中野坂上支店にも立ち寄…

帝国銀行、人事部28

山内は、おとなしく優しい感じの同期だった。入行時から個人業務を支店で担当している。現在は支店で主任をしていたはずだ。山内のキャラクターを考えると本人がパワハラを受けることは想像しにくい。そうすると同僚の誰かが被害を受けているということなの…

帝国銀行、人事部27

夜遅くだった。 田嶋のスマホに同期の山内早苗からメールが入った。山内からメールが来るなんてことは、この10年はなかったはずだ。かなり前に同期会であったきりだ。そもそも、同じ銀行だから何か用事があれば、会社のメールで送れば良い。それを田嶋の個人…