事実はケイザイ小説よりも奇なり

経済を、ビジネスを、小説を通じて学んでみる

【1月24日記者会見②】(ヂメンシノ事件73)

「報道各社の皆様。本日は急なご連絡にも関わらずご参集頂きまして誠にありがとうございます。」 一拍呼吸をおいた。声が震えないかだけ気をつけた。 「先程、弊社の代表取締役交代を発表させて頂きました。会長の奥平は取締役相談役となります。」 記者席か…

【1月24日記者会見①】(ヂメンシノ事件72)

会見が始まったのは午後6時半。 会見には自身と新社長の木村の2名のみで臨んだ。 巨大住宅メーカーのトップ交代としては異例の対応だろう。 殺風景な何もない会見場だ。 金屏風もない。退任する会長もいない。住宅業界の顔であるカリスマ奥平の退任なのに記…

【1月24日取締役会後②】(ヂメンシノ事件71)

「すまん。肝心なことを伝えるのを忘れていたな。奥平会長は代表取締役を辞任された。奥平会長は取締役相談役となり、次回の株主総会で取締役も退任となる。本日の取締役会で決まった。だから、先程の私の指示を実行しても、君が窮地に陥ることはない。心配…

【1月24日取締役会後①】(ヂメンシノ事件70)

取締役会終了後、奥平を別室に案内させていた。会長室に行かれると、メールを消されたり、大事な書類を処分される可能性すらある。会長室は入室禁止とし、私物は一切持ち出させないようにしなければならない。勝手に外部に連絡をされても困る。もちろん、事…

【1月24日取締役会⑨】(ヂメンシノ事件69)

「分かった。辞任する。」 「え。」 「平野社長。何度も言わせるな。辞任する。後は好きにせえ。」 「ありがとうございます。このような形になって申し訳ありません。会長の名誉は守りますから。」そう言って平野は深々と頭を下げた。10秒ほどは頭を下げてい…

【1月24日取締役会⑧】(ヂメンシノ事件68)

「知らんじゃないんですよ。こちらは証拠を握りました。最初は知らないふりをしようと思っていましたよ。会長は私を社長にして頂いた恩人ですからね。ひらのめぐみ。略して、ヒラメ。会長の腰巾着だからヒラメとまで言われながら会長をお支えしてきました。…

【1月24日取締役会⑦】(ヂメンシノ事件67)

「会長。辞任してくださいませんか。トップになって20年ですよ。もうご勇退しても良い時期じゃないですか。」 「言うに事欠いて、何を言うんや。恥さらしが。俺の退任理由はなんや。」 「キックバックですよ。」平野は短い言葉で返した。 「は。何のことや。…