事実はケイザイ小説よりも奇なり

経済を、ビジネスを、小説を通じて学んでみる

【11月20日取締役会⑤】(ヂメンシノ事件44)

「奥平会長。私の退任問題を話し合うとはどういうことをおっしゃっているのでしょうか。議題は何ですか。」 「平野社長。何を言いたいんや。」奥平が面倒臭そうに返してきた。 「退任とはどのような意味でしょうか。」 「退任は退任や。クビというこっちゃ。…

【11月20日取締役会④】(ヂメンシノ事件43)

・・・・・・1分が経過しただろうか。誰もが声を発していなかった。平野はただ待ち続けた。沈黙こそが重要な時がある。今がその時だ。相手は動くしかない。相手の出方を待つのだ。これ以上、平野は発言することは逆効果になる。 平野には楽観視したい気持ち…

【11月20日取締役会③】(ヂメンシノ事件42)

「何言ってるんや。」 奥平の怒声が響く。 「勝手なこと言ってるやないか。自分、どんなつもりや。責任逃れちゃうんかい。」畳みかけるように言葉が浴びせられる。完全に関西の『たちの悪い』おっちゃんになっている。 平野はあくまで冷静に続けなければなら…

【11月20日取締役会②】(ヂメンシノ事件41)

「ただいま、議長からご指名に預かりましたようですので、代表取締役社長兼COOの平野から少しお話をさせて頂きます。」 平野は取締役会で初めて『代表取締役社長兼COO』と自らのことを呼んだ。あくまで堅苦しく、法律や規定に則って対応している自分を演出す…

【11月20日取締役会①】(ヂメンシノ事件40)

11月20日14時。取締役会がスタートした。 今回の取締役会は物件の取得等についての議題があったものの、大きな議題ではない。参加する取締役の誰もが『その他』としか記載されていない議題に注目していると想定された。 取締役会の議長はいつも通り奥平だ。 …

【11月20日取締役会前の朝②】(ヂメンシノ事件39)

今は、大工こそが住宅の性能を左右する。しかし大工は高齢化により人手不足となった。満水ハウスは、大工の人手不足を補うために、熟練者でなくとも施工が行えるように、可能な限り工場で部材を組み立て、現場の工事を標準化してきた。1週間ぐらい研修を行え…

【11月20日取締役会前の朝①】(ヂメンシノ事件38)

11月20日は秋晴れと言っても良い天気だった。朝方の気温はさすがに高くはなかったが、天気予報では最高気温15度と言っている。 今日は比較的暑くなりそうだが、それ以上に平野にとっては重要な、暑い一日だ。 朝食はヨーグルトとフルーツで簡単にすませる。 …