事実はケイザイ小説よりも奇なり

経済を、ビジネスを、小説を通じて学んでみる

帝国銀行、人事部52

出勤すると伊東がすぐに会議室に来るように指示を出してきた。机からノートだけを取り出して、伊東の後を追う。いつもの殺風景な会議室に山中がいた。伊東が自然な形で山中の横に座る。田嶋は山中の目の前にテーブルを挟んで座った。今日の山中のネクタイは…

帝国銀行、人事部51

その後、山中からの音沙汰はしばらくなかった。 伊東も田嶋には何一つ話をしてこない。田嶋は焦燥感に駆られながら、業務を行うしかなかった。夕方になると暇になってしまうため、調べたかった様々な情報をネットで収集している。例えば、世の中の企業におい…

帝国銀行、人事部50

翌日、田嶋は6時にオフィスに入った。いつも通り山中は6時20分頃来るはずだ。既にセブンーイレブンで必要な書類は印刷してきてある。田嶋の自宅にはプリンターがない。代わりにセブンーイレブンのアプリを使っている。このアプリはアプリ内に印刷したい書類…

帝国銀行、人事部49

翌日、田嶋は人事部に異動してきてから一番早く退行した。18時30分にオフィスを出たのは初めてだ。昨日の怪文書が気になり、どうしても仕事に身が入らなかったのだ。 田嶋は、浅草にある行きつけのバーに足を向けた。 神谷バーは、1880年に創業した日本で最…

帝国銀行、人事部48

「証拠はありませんが、中野坂上支店の岩井支店長と少々問題を抱えております」 「山中部長からも、簡単な経緯は聞きました。では、岩井さんがやったということですかね」 「私には分かりません。しかし、今回の岩井支店長への対応の端緒は山内さんからの連…

帝国銀行、人事部47

山中に相談して二日が過ぎたころ、人事部宛に差出人不明の書面が届いた。宛先は山中人事部長殿となっていた。 午後一番に田嶋は副部長の伊東から会議室に呼ばれた。入室するなり、伊東が話し始める。 「田嶋さん。困ったことになりましたよ。」 そう言って、…

帝国銀行、人事部46

「田嶋君。岩井支店長の件はどうなっているの」そう尋ねた山内の目は真剣だった。 「このままだと、中野坂上支店は崩壊しちゃうよ。スタッフさんたちは次々と辞めたいって言うし、真島さんは今日も病欠。もしかしたら、病院で鬱になったと診断書を書いてもら…